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2008年06月24日

日本のスイッチ・179 by「ダメ」日記

※日本のスイッチとは毎日新聞の携帯サイトから参加できるアンケートです。本家はこちら、詳しくはこちらをご参照下さい。
※日本のスイッチの輪(略称・日ス輪)とは、日本のスイッチに参加したブロガーがそのアンケート結果を公表し、互いにトラックバックを送り合って交流するものです。詳しくは主宰のatsuさんのところで。 

 先週の結果から。
 前回のスイッチで、私と同じ回答をした人は31759人中37人いらっしゃいました。

 今週は弘兼憲史さんの質問だそうです。それでは今週のスイッチをどうぞ。


1.女にモテて仕事もできる島耕作みたいな人物が
 ○身近にいる
 ●見たことない

 そんなやつが巷にゴロゴロいてたまるか、って話です。

2.今、「出世したい」と思う若者が減ってるとか
 ○それはまずい
 ●それも生き方

 ちょっと床屋政談じみた説教の如き考察を。思考の素描なので、粗い所がたくさんあるかと思います。事実の誤認や論理破綻についてのご指摘は喜んで受けますが、何分「素描」ですから、鬼の首取ったように上から目線でボロカスに言うのは勘弁して下さい。

 一昔前は「立身出世」が言われていました。福澤諭吉なんかが盛んに説いてましたよね。それって裏を返せば、当時の大多数の人々のメンタリティはまだ江戸時代の続きで、身分社会的な価値観が色濃く残ってたんだと思います。百姓なら百姓を、商家なら家業を継いで生きていく、というのが支配的な価値観であっただろう事は想像に難くありません。こういう価値観は急いで近代化を達成しないといけない明治初頭の日本にとってはマイナス要因でしかありませんから、「一身独立して一国独立す」はそういう意味でも非常に大事な啓蒙だったんだと思います。
 話がちょっとそれましたが、つまり、何か今までと違うことがわざわざ言われるということは、その反対の価値観が世を覆っているのではないか、という推論が成り立つわけです。

 で、今「出世したい」という若者が減っているということですが、これは明治以降ずっと"啓蒙"されてきた「立身出世」的な考え方が一般的な価値観として広く受け入れられていることの証左ではないでしょうか。あとは人権思想や戦後民主主義的思想を背景に、「ナンバーワンよりオンリーワン」「自己実現」といった価値観が広範に受け入れられたということもあるでしょう。そしてそれが行き過ぎて、今現在、何の根拠もなく自分をもの凄く優秀な人間だと思い込んでプライドと自意識を肥大させている人って結構多いように思います。「お前何様やねん」って人、周りにやたらいませんか?

 しかし、統計的に見てもそんな優秀な人間ってごく少数ですから、大多数は現実とのギャップに直面し、挫折を味わって自己認識を改めるか、自分の自意識とプライドを守るために世の中を呪うかのどちらかに行き着きます(多数は前者で、それが「大人になる」「世の中を知る」ってことだと思います)。
 そもそも、「自己実現」を達成し自分の望む生き方を送れることが素晴らしい、と手放しで賞賛する考え方というのは、そういう風に生きられなかった人に大きな挫折感とダメージを与えてしまう、ある意味でものすごい危険をはらんでいます。「自己実現」を達成し夢をかなえる生き方は確かに素晴らしいですが、現実問題それを達成しているのはごく一部の優秀で恵まれた人たちだけで、大多数の人間は自分の能力に見合ったほどほどの生き方をしている、という認識とセットで語られないと追い詰められる人たちを山ほど生んでしまうのではないでしょうか。
 しかも、「自己実現」を達成して出世し、功成り名を挙げた人は、それはそれで大多数の「挫折組」の嫉妬と怨嗟を買うこともわかってきました(2ちゃんねるの登場は、その事実を若い世代にダイレクトに提示しちゃったように思われます)。これも立身出世に対する負のインセンティブとして働きそうです。 

 あと付け加えるなら、「オンリーワン」じゃないですが、価値観が多様化したことも大きいように思います。趣味や娯楽が昔と比較にならないくらいに増えたので、仕事はそこそこに、あとは自分の楽しみに時間を使いたいと人々に思わせるようになったのではないでしょうか。「出世」は達成感も大きいでしょうがコストもかかります(ハイコスト・ハイリターン)し挫折などのリスクも高いです。が、そこそこの生活を送ってあとは自分の好きなことをして過ごすのだと、ローコストでそこそこハイリターンが得られるわけです。
 今までも娯楽や趣味を優先する「そこそこ人生」的な価値観はあったと思いますが、社会が豊かになり価値観が多様化したことで、その考え方に追い風が吹いてきた、と私は見ています。

 以上のようなことを考えると、出世したいと思う若者が減るのも当然だと思います。「自己実現」思想の無理に気づき、そこそこの人生のお得感を知れば、後者の生き方を選択する方がむしろ賢明だとすら言えそうです。
 でもこれって悲観すべきことなんでしょうか。自己意識が肥大する前には「分を知る」という言葉がかなり強力に機能していました。「分を知る」という言葉が「自己実現」思想やらのせいで廃れ、土台設定に無理のある「自己実現」思想に人々が疲れ果てたとき、「分を知る」に代替するものとして(あるいは「自己実現」思想でつぶれてしまう人たちへの安全弁、もしくは「自己実現」思想へのアンチテーゼとして)、あまり出世を望まない「そこそこ人生」の思想が強くなってきたのではないか、と愚考する次第です。

3.団塊の世代って、どちらかといえば他の世代より
 ○得してる
 ●損してる

 正直よくわかりません。
 が、うちの親父に関して言えばあまり得していたように思わないので。

4.2世議員や親子首相など、政治家の世襲どう思う
 ○体質古い
 ●有能ならOK

 そもそも二世議員を「政治家の世襲」ということが間違っています
 世襲というのは、その家の地位・財産・職業などを嫡系の子孫が代々受け継ぐことを言いますが、議員という地位は選挙によって決まるのですから、そもそも世襲なんてできないんです。あくまで当人が有権者から信任を受けないといけないわけで、伝統芸能や王族、親族会社と一緒にするのは間違いです。

 ただ、そうは言っても実際問題、地盤を継ぐ人間は裸一貫で立候補する人間よりも断然有利だ、という指摘はあるかもしれません。選挙参謀や後援会などでよく言われるのが「せっかく先生が築き上げた地盤が勿体ないから」「お子さんが継ぐのが一番有権者にウケが良いから」という奴です。実際有権者のウケも良いんでしょう。
 が、議員が選挙で選ばれている以上、そんなのは言い訳です。一番悪いのは、議員をその人の能力・資質で選ばずに、誰それの子供だという因縁で投票してしまう愚かな有権者以外にあり得ません。
「政治家の世襲」を批判するのなら、二世政治家の議員立候補をではなく、後援会や有権者の間に巣くう「前近代的な世襲意識」をこそ批判すべきです

 あと、子供が親の仕事を継ぐのがそんなにおかしいことなんでしょうか?
 例えば職人の世界でもいいですし、農家や漁業でも構いません。親の働く姿をみて子供が親に尊敬の念を抱き、大きくなったときに「自分が仕事を継ぐ」と言ったら、美談に感じませんか?
 なのに、どうして政治家になると途端に「世襲」と悪く言うのでしょうか。元々政治家なんて汚い商売だと頭から決めつけているのなら、それはお上意識とマスコミ(特にワイドショー)に毒されていると言わざるを得ません。
 今回のゲスト設問者である弘兼憲史さんの『加治隆介の議』辺りを一度読んで下さい(あ、ただし愛人が人生のキーパーソンになる男根主義はご愛敬と言うことで読み流して下さい)。 

5.「趣味は仕事」と堂々と言い切る男の人って
 ○かっこいい
 ●ちょっと引く

「仕事が生き甲斐」だったら格好いいんですがね。「趣味は仕事」と言われると、何となくつまらない人間のように聞こえてしまいます。

6.北朝鮮問題に限れば、どちらの首相を評価する?
 ○福田さん
 ●安倍さん

7.65歳を過ぎたら、どうやって暮らしたいですか
 ●働かずに生活
 ○何かの仕事を

 高等遊民でいきたいです。

8.いつかは社長になりたいと思ったこと
 ●ある
 ○ない

 思ったことはあります。

(了)

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 参加者は常時募集中です。新規に参加を希望される方は「日ス輪基本ルール」をご一読ください。
 公式版「日本のスイッチ」への参加は、iモード・EZウェブ・ボーダフォンライブ!の「毎日新聞」サイトから。
 毎週月曜に新しい質問がアップされ、水曜日まで回答可能です。

posted by だっしー at 06:16| 大阪 曇り| Comment(2) | TrackBack(12) | 日本のスイッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>鬼の首取ったように上から目線でボロカスに言うのは勘弁して下さい。

ようし、これは露骨にボロカスに言えってことだなぁ!

というのは冗談として、自分がサラリーマンだと、あまりに周りがこういう人ばかりでもかなり困ってしまいます。
自分のことだけできればいいんすよ〜とかいう感じで、大事な仕事についての責任とか放棄されたりとか(笑)もっともそこまでいく輩がいないわけでないけれど、どこにもいたりもします。

ここでおもむろに論点を思い切りずらしますが(笑)少し前、自由経済主義って話についての文章を読んだときに思ったことなんですが、自由経済主義が進むと「より多く働いた者はより多くの報酬を得る」という図式になると思うんですが、こういう社会が浸透してくると「そこそこ働いてそこそこの報酬」という存在ってのは、相対的には前者と比較するとサボっているという事になるわけで、じゃぁそういうところで「そこそこ型」の人間にとって自由なのか?という事を考えたりします。
(これは例のレトリックの先生流でいえば「自由」という言葉の定義の問題なんでしょうけれど)

私自身もサラリーマンというレールにいる以上、上昇志向は捨てるわけにいかないけれど、自分の理想である「そこそこ型」を今の会社で実現するためには、出世してしかるべき地位にならないといけない(=力を持たないといけない)という矛盾も抱えていたりします。

そこそこ型の実現は、なかなか言葉のように簡単にはいかないなぁというが、正直な実感だったりします。
Posted by 佐倉純 at 2008年06月23日 23:22
上の文章を少し補足

自由経済主義、というよりは、自由主義経済、ですね。

>じゃぁそういうところで「そこそこ型」の人間にとって自由なのか?という事を考えたりします。

ってのは

>じゃぁそういうところで「そこそこ型」の人間にとって、自由主義経済ってのは本当に自由なのか?という事を考えたりします。

結局のところ、昔の主流な価値観である「あくせく働け」的な価値観が、今は徐々にパラダイムシフトを起こしている途中なのかなぁ。
Posted by 佐倉純 at 2008年06月23日 23:28
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