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2004年08月14日

ダメなもの「純愛」(1)

 最近、『冬のソナタ』だの『世界の中心で、愛をさけぶ』だのと、純愛がブームなのだそうである。
 もちろん、一方では(とくに『セカチュー』の方には)「あんなもん純愛でも何でもない!」という批判もある。確かに、『セカチュー』の粗筋を聞く限り、もっとできの良い純愛物語はいくらでもあるし、『セカチュー』が取り立てて素晴らしいものとも思えない。

 ただ、私としてはどっちの意見にも与したくない。なぜなら、私にはその「純愛」を世の人々(特に「女・子供」でいうところの「女」)がもてはやすこと自体さっぱり理解できないからだ。純愛とはそんなに尊く高い価値を有するものなのだろうか。少なくとも、『セカチュー』で随所に見られる「純愛」には何の価値も見いだせない。

 と、ここまで書いてきたが、そもそも「純愛」とは何か。あらためて考えると定義がはっきりしない。そこで、「攻めの辞書」で有名な『新明解国語事典(第四版)』で調べてみた。

じゅんあい【純愛】 一身を犠牲にすることもいとわない、ひたむきな愛情。〔世なれていない男女について言う〕

 わはははははは!(爆笑)  さすがは「攻めの辞書」で名高い新解さんである。〔世なれていない男女について言う〕って、その通りなんだけど、なんか滑稽だ。妄想は百も承知で敢えて言うが、この〔世なれていない男女について言う〕って『セカチュー』を揶揄するために書き足したとしか思えない。

 この点、『広辞苑(第四版)』はぬるいといわざるを得ない。

じゅんあい【純愛】 純粋な愛。ひたすらな愛情。

 味も素っ気もない。が、ひとつ気になることがある。「純粋な愛」って何だろうか。今度は「純粋」を引いてみた。
 まずは広辞苑から。

1.まじりけのないこと。異質なものをそれ自身に含まないこと。「−物質」
2.もっぱらなこと。専一。「−に学問的立場から発言する」
3.完全なこと。
4.邪念・私欲がないこと。「−な若者」

 ちなみに、2の専一(せんいつ)とは、「もっぱらそれに打ち込んで、他を顧みないこと」とあった。

 一方新解さんでは、

1.どんな点から見ても、ほかの余計なものが、少しも交じっていない様子。「−の江戸っ子・−な好意」
2.その人の考え方や行動の中に、利害打算などを意識したところが少しもない様子。「動機が−・−な気持:−性」

とある。双方の1については、基本的に物質対しての用法だが、相手を思う気持ちでいっぱい、という意味に解すべきなのだろう。この意味は「純愛」のところであった「ひたむきな愛情」という意味(=広辞苑の2の意味)にも通じる。
 あと、広辞苑の4の意味と新解さんの2の意味がだいたい同じと考えて良さそうである。4の状態だから邪念や私欲、利害打算などが交じってこないという意味もわかった。
 ただ、広辞苑の3の「完全」の意味ではちょっと使えそうにない。愛情が何を持ってパーフェクトなのかも定義できないし、特に「セカチュー」の場合、男の愛情の名宛人である彼女が死んじゃってるから、完全とはちょっと言えそうにない。

 以上をまとめると、辞書的な意味で「純愛」とは、互いを思い合う気持ちでいっぱいであり、邪念や私欲、利害打算といったものが全くいっさい無くひたむきに相手を愛する状態、ということになる。

 しかし、この定義には我々が一般に用いている意味での「純愛」の一つの大きな要素が抜け落ちている。それは「純愛=プラトニック・ラブ」であるということである。性交渉のない恋愛関係がそんなに素晴らしいものだとは思えないのだが、その辺は次回に譲ることにする。
(この項つづく)

《関連記事》
・ダメなもの「純愛」(1)
ダメなもの「純愛」(2)

《参考文献》
・片山恭一『世界の中心で、愛をさけぶ』(小学館)
・山田忠雄編『新明解国語事典(第四版)』(三省堂)
・新村出編『広辞苑(第四版)』(岩波書店)

posted by だっしー at 02:11| 大阪 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセイ・日記・ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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