※警告
以下の感想文にはドラマに対する否定的な評価も多分に含まれているので、読まれる際にはご注意下さい。ってか、ドラマが大好きで、ドラゴン桜への否定的な感想なんかを読んだら怒るかも知れないと思ったら「読まないで下さい」。(くれぐれも感情的なレスだけはご勘弁下さい)
今期、一番楽しんで見ていたのが「ドラゴン桜」(TBS系)だった。職業柄(バイトではあるが)勉強法や教え方などで感じていたことや考えていたことと符合することがたくさんあり、勢い原作*も全巻揃えてしまったくらいだ。
* ちなみに、原作の絵はお世辞にも上手いというレベルではないので、ドラマを見た後に読むと、「うわっ、目が腐る!」といういわゆる「青木雄二効果」を体験できるだろう。
ドラマの方は主役の阿部寛がハマり役で、本人もノってやっているのがブラウン管を通じて伝わってきた。それに比べて長谷川京子は、演技ももう一つだったしそれほどキレイにも映っていなかったように思う。
山下智久(どうして番組HPに写真がないのだろう?)と長澤まさみ、新垣結衣あたりは可もなく不可もなしといったところか。良かったのはサエコ(東大ブランドがなければアイドルなんてなれっこない、というに説得力があった。ある意味一番のハマり役だったと思う)と小池徹平(あのキャラが個人的にツボにはまった)、そして中尾明慶(良いキャラだったし、そのキャラクターを上手く演じていた)の三人だった。
ドラマの内容については、中盤までは原作の雰囲気を守りつつ良い感じでアレンジされていて非常に好印象が持てた。
しかし、美保純が倒れた辺りからご都合主義的な艱難辛苦が加速度的に増大し、最終回に至っては正直勘弁してくれというレベルに達していた。双子の弟が兄貴に賞味期限が切れたサンドイッチを渡し、それを食べた兄貴が翌日腹をこわしながら受験するというシーンがあったが、十日も前のサンドイッチを持ってる方も持ってる方だが、それを食べる方も食べる方である(たまごサンドもあったけど臭わなかったのだろうか?)。脳梗塞で入院中、病院の階段でまた倒れた美保純をかばって右手を骨折とか、もう取って付けたような試練の目白押しで、正直「最後の最後でこれかよ」と軽い失望が胸を去来した。
もっとも、原作がまだ連載中で、しかも全11回という1クールで話をまとめないといけなかったという制約はあっただろう。でも、それにしても、あんまりにもお粗末すぎだった。
最後の最後に引いてしまったのは東大に受かった山下智久が東大に行かず、独学で司法試験を目指すといったシーンである。
はっきり言って無茶である。現行司法試験では大学の語学と教養課程を履修しておかないと一次試験という教養試験を余計に受けなければならなくなるし、新司法試験を受けるには法科大学院を出なければならないが、法科大学院に入学するには基本的に大卒でなければならないようである(各法科大学院によって違うようではあるが、大卒でない場合大卒と同等と認められるためにやはり別途試験を受けなければならないようだ)。桜木先生、これはさすがに「正解」じゃないでしょう。
机*の上に有斐閣の六法全書を広げた辺りで「あっちゃー」という気はしたが(あんなの使ってる受験生にはまずお目にかかれない。分厚くても模範六法くらいまでである)、工事現場で働きながら「金融先物取引法第三条…」という、おそらく司法試験合格者ですら誰も知らないと断言できる法律の条文を暗記していたのには目からウンコが落ちてしまった。
* 正確には、家財道具を借金のカタにほとんど持って行かれ、段ボールをちゃぶ台代わりに使っており、その上であった。取って付けたような「貧乏」の演出であるが、それよりも、そもそもあんなちゃぶ台に差し押さえて持って行くほどの価値があったのか。
よくわからないのだが、「矢島勇介」は一体何になるつもりなのだろう。というか桜木先生に習ったことが全然生かされていない。東大新聞見せられて情報を集めることがいかに大事か教わったはずなのに…
少しのことにも、先達はあらまほしき事なり。
(吉田兼好『徒然草』第五十二段より)
最後の最後で「バカはやっぱりバカのまんまなんだ…」と暗い気持ちになってしまった。
(了)



オススメの品々
ドラゴン桜っておかしなところだらけです
よね。
司法試験なのですが1次には法律科目がない
みたいなんですよー。
他にも穴だらけなんで、東大生に確認して
もらったほうが確かなのかも。。。
途中から生徒たちの成長ぶりが見えづらくなったのが実に惜しいと思います。
それに、原作がまだ模試やってますからねぇ。完結してから映像化したほうがさらによかったかも。
山下智久の写真がHPにない件ですけど、ドラゴン桜に限った話ではないですよ。
「金八http://www.tbs.co.jp/kinpachi/3b_profile/index-j.htmlでも
「ごくせん」http://www.ntv.co.jp/gokusen/でも、
ジャニタレはみんな写真が掲載されてません。
なんかジャニーズが許可出さないみたいなんですよね。
ま、ジャニーズのおこがましいところですよ。
確かに無理やりなとこはあったドラマでしたね。
でも私は桜木の言葉に胸をうたれてましたしおもしろくみてました(^^)
ドラゴン桜の内容は、些末なテクニックに一部首をかしげることはありますが(特に国語、あんなの何も言っていないに等しいので)、本質的な部分や基本的な勉強に対する考え方については首肯できる部分がほとんどです。そういう意味では「勉強って何をどうしていいのかわからない」といって苦手意識を持っている子にも(東大を受けるか否かに関わらず)是非一度目を通してもらいたいと思います。
ただ、第9回目以降は脚本に無理と勉強不足がありました。
矢島の独学で司法試験を目指すという箇所について本文中にも書きましたが、司法試験の一次試験というのは教養試験(詳しくはhttp://www.geocities.co.jp/HeartLand-Suzuran/1761/barexam03.htmlをご覧下さい)です。それに今は現行司法試験から新司法試験への過渡期で、敢えて現行試験の一次から受けるのが「正解だ」とは言えないわけです。
これは脚本家が司法試験の勉強などについてちょっとでも調べておけばやらかさなかった失敗だと思います。
> 他にも穴だらけなんで、東大生に確認して
もらったほうが確かなのかも。。。
これについてはドラゴン桜のハンドブックというものが2冊(モーニング編集部からと、よその出版社から出ている非公式のもの)出ています。
モーニングの方では現役東大生にアンケートを採って勉強法の善し悪しを論じていました(統計母数などにかなりあやしいものを感じはしましたが)。
後者の方は原作中で「宇宙人」と言われた理Vの合格者が批判しているそうで私は読んでいないのですが、Amazonのレビューなどでは「日本語が無茶苦茶だったり、反論になっていなかったりして、理Vですらこのレベルで受かっているということが、奇しくもドラゴン桜の正当性を証明してしまっている」と言われていました。
仰るとおりで、途中から彼らの成長が描かれなくなってきたのと面白い勉強のテクニックが減ってき、見ていてフラストレーションが溜まりました。その上、取って付けたような試練が次々襲いかかってくるので、私の辟易感は更に増大しました。
最終回を見て思ったのは、完結が無理だとしても、もう少し原作の進展を待って、秋から半年くらいでじっくりやれば良かったのに、という勿体ない感ですね。
それにしてもジャニーズと言うところは意味が分からないところですね。HP上に写真を載せないというのは明らかにおかしいですもんね。どうせ出さないのならこっち(http://www3.nhk.or.jp/taiga/)も写真をカットすべきでしょうに。
こんな些事でファンや視聴者に違和感を与える前にジャニーさんの××××を何とかすべきでしょう。
言い訳がましくなりますが、私も面白く見てましたよ。
桜木のセリフは一部極論めいたところもありますが、それも含め、きちんと現実を見据えた上で言ってることばかりなので、私もブラウン管の前で「うんうん」と頷きながら見てました。
一番グッときたのは、お母さんが倒れた水野に桜木が一度だけ「頑張れ」と言ったところです。ベタっちゃあベタですし、「俺の大嫌いな言葉を一度だけ言う」なんて振りがついたらその後言う言葉は分かってしまうんですが、それでも良かったです。
あのシーンが良かっただけに、最終回では「ちゃんと試験受けさせたれよ! 大体明日からリハビリのときに階段なんか降りるか? 転けて怪我させるためにわざわざ階段降りさせてるの丸出しやん」と思ってしまいました。個人的には普通に受けて落ちた方が自然だし説得力もあったと思いました。
第10話の桜木と水野はよかったですよね!
阿部さんかっこよかった〜
確かに私も水野が試験受けれなかったのは納得いかなかったですね(><)
ところで関係ないのですが、コメントのだっしーさんのつっこみセリフが関西弁でいいですね。関西弁好きなんです(^^)
×こんばんわ
日本語ちゃんとしろこの、馬鹿どもがぁ!!
以後気をつけます(><)
学費がもったいないから東大行かないというのは、「バカはやっぱりバカのまんまなんだ…」という感じなんだろうなあ。
ただ自分を振り返ってみても、社会的にレールができあがっていないものに関しては、なかなか自分で自分に投資するということは結構できないものですね。逆に過剰に投資しすぎて回収できないということもよくあるし。
そういう「バカ」さというのは、社会の不平等の根底にあって、なかなか変えられない部分なのかなって思いました。
司法試験受験生の立場から言わせていただきますと、司法試験に受かることを目標にするなら合目的的な選択ではないと思います。
学費が払えないと言っても、どうせバイトするなら東大ブランドを生かして割の良い家庭教師のバイトで金を稼ぐとか、奨学金なり何なりをもらいながら司法試験の一次試験を免除される語学・教養だけ履修しておいて二年で中退するとか、「東大」というプラチナチケットの利用法はいくらでもあったはずなんです。
なのに彼は東大に入らずに土方のバイトをしながら独学で司法試験を目指したわけです。で、勉強法はというと完全にあさっての方向を向いているわけで、見てる私としましては「ほら、やっぱり正解とちゃうやんけー!」と思ってしまうわけです。
一次試験から受けるのがはっきり間違いだとは断言できませんし、そういう道もあることは確かですが、その選択が果たして目的達成のために集められた正確な情報を元にして合理的・合目的的に検討されたものであるかという点にはかなり疑問が残ります。
これははっきり言って脚本家の不勉強以外の何者でもありません。
かずま様のブログでも触れられていましたが、この手の荒唐無稽なドラマは細部の設定や情報にこそ細かくこだわらなければリアリティを出せないわけです。そういう意味で、こと司法試験関連の描写に関しては手抜きのそしりを受けても仕方のない出来だったと思いますし、それ以上に脚本家自身が桜木の教えを裏切っているわけです。そしてそれは、桜木の「全部正解だ!」というセリフの説得力を削いでしまい、多少なりとも「キレイゴト」のように感じさせてしまったことにも繋がったと思います。
ただ、敢えて弁護するなら、日本のドラマ界における司法試験の描写はどれもこれも杜撰を窮めています(そういう意味ではドラマ界が構造的に抱えている欠陥と言えるのかもしれません)。
かつて「101回目のプロポーズ」で武田鉄矢が司法試験を受けるのですが、そのときのテキストも司法書士受験用のテキストを使っていたり、某カード会社のCMでも田畑智子扮する司法試験受験生がやっぱり「六法全書」を使っていたり…と受験生から見れば「ヲイヲイ」連発のものばかりです。
本文の補足を兼ねて、以上はちょっと詳しく書かせていただきました。
> そういう「バカ」さというのは、社会の不平等の根底にあって、なかなか変えられない部分なのかなって思いました。
私もそう感じました。やはり桜木に東大新聞を見せられて「情報が大事だ」ということを抽象的に分かった気になっていても、現実としてその教訓は全く生かされていなかったわけですから。
本文中では徒然草を引きましたが、やはり正しい判断を下すためには、その基礎となる正確な情報を得られる環境に身を置くこと(それができなければせめて少しでも情報をたくさん集めること)が大切だと思いました。